第38回植物画コンクール:伊藤みゆきさん、一般の部 国立科学博物館長賞

〔一般の部 国立科学博物館長賞〕ノアザミ 伊藤みゆき(愛知県)、昨年に続き、3回目のご入選です。

講評は、「斬新なアイディアで、花を真ん中で切り分けたような形で、雄と雌の花を描き分けている。相当練られたと思われる構図となっている。」

【作者による制作過程のお話】

日本列島は世界に類をみない150種以上のアザミの多様性がみられる島国だそうです。ノアザミの細部の特徴を描くことをテーマにして、

①上部に小花(しょうか)が開花する時間経過を配し、

②その下に総苞(そうほう)を置きました。総苞には粘りがあり、アザミの種の特徴が観察できる大事な器官です。

③ノアザミの葉の特徴として、根元に生える根生葉(こんせいよう)が花期まで残る種類であることを左の茎に描きました。

④右の茎には茎葉(けいよう)を置きました。葉の付け根が茎を抱くように生え、そこから花の茎が分かれて出ます。

⑤花が上向きに咲くこともノアザミの特徴です。切断図により頭花(とうか)の特徴を示しました。

⑥これらのパーツを配して、動きを感じる構図を創りました。根と葉脈の流れ方向、葉先の向き、茎や蕾の曲がり具合などを調整しました。右上から左へ1/3、下へ1/3の位置あたりの位置の葉のコントラストや彩度を調整して焦点(最初に注目される部分)を作り、そこから、その下の茎葉と茎から根の方向に右回りに視線を誘導し、左の茎の下から上方に沿って観ていただくように配置しました。葉先のトゲの鋭さも視線誘導に効いています。

⑦配色は、根の赤系、花の青紫系、葉の黄緑系をあちこちに散りばめて、且つごちゃごちゃ感を押さえてスッキリとクリアーにしました。

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  • 講評:細い根と、食べる部分の太い根が、丹念に彩色できています。細い葉をきちんと描かれていて、彩色も見事です。セリ科の白くて小さい花を丹念に描いて特徴をよくとらえています。拡大図も花が開花するまでの順序で描かれていて、よく考えられた構図です。(角田葉子)

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